膝の屈伸でパキッっと音がするの、もしかして『タナ(棚)障害』かも?!
なにかの動作でしゃがんだ際、膝がパキッとなることありませんか?
もしかしたら、膝蓋骨(膝のお皿)の内側にある滑膜ひだが影響しているかもしれません。
『タナ(棚)障害』とは、膝蓋骨(お皿の骨)と大腿骨内側の間にある滑膜ひだが、膝屈伸時に挟まったり、こすれて炎症を起こし痛みが生じます。
膝関節は関節包という袋に包まれていて、その中に関節腔(かんせつこう)という空間があり、その空間は滑膜ヒダという膜のような壁で仕切られています。膝蓋骨(膝の皿)と大腿骨(太ももの骨)の間のヒダは、物をのせる棚のように見えるため、タナと呼ばれています
滑膜ひだは胎内にいる胎生期に作られていて、生まれる前に消失していくのですが、一部の滑膜ひだが約50%の確率で残存します。
・膝蓋上滑膜ひだ
・膝蓋下滑膜ひだ
・膝蓋内側滑膜ひだ
・膝蓋外側滑膜ひだ
の4つの滑膜ひだが存在しますが、残存しやすく膝の痛みの原因になりやすいのが膝蓋内側滑膜ひだです。
【原因】
マラソンや自転車など膝の屈伸動作を繰り返すスポーツによる使いすぎや、先天的に膝蓋腱が長い、膝蓋骨の形や位置が悪かったり、膝蓋骨の動きが悪くなどで痛みが出ます。
滑膜ひだが膝蓋骨(お皿の骨)と大腿骨の間で繰り返し挟まれると炎症を起こし、徐々に肥厚してきて、引っ掛かりが強くなると症状が悪化することがあります。
【症状】
運動時に膝蓋骨の内側(お皿の内側あたり)に痛みが出現します。膝の屈伸時に、ポキッと音がなることがあります。これは滑膜ひだがが引っ掛かることで音が鳴ります。強い炎症を起こせば関節水腫(関節に水が溜まる)の原因になることもあります。
・膝蓋骨(お皿の骨)の横の痛み
・屈伸時の痛みや「コキッ」「ポキッ」などの音がする
・膝の圧迫感や違和感を感じる
など
軽い違和感~強い痛みまで症状が様々です。
【検査】
徒手検査やMRI検査にて画像診断を行います。超音波エコーでも滑膜ひだの有無や肥厚などを確認することができます。
徒手検査では、Plica Test(プリカテスト)があります。
◆Plica test
仰臥位。
患者の位置:膝が十分に伸ばされた状態から始めます。
検査者は患部側に立ち、片方の手をかかとの周りに置き、もう一方の手のひらを内側大腿骨顆の上に指で膝蓋骨の側の境界の上に置いて、脛骨を内部で回転させ、膝蓋骨を押しながら患者の膝を曲げて伸ばし、膝の痛みの有無を確認します。
膝関節30 ~ 60 度の範囲で行います。
【治療】
基本的には、運動制限や股関節・膝周辺のストレッチなどのセルフケアを行います。
セルフケアでは、膝周辺の筋力強化や柔軟性を高めるためにストレッチを行ったり、膝蓋骨の動きをつけたりします。
炎症や痛みがひどい場合は、棚の部分にステロイドの注射療法を行うこともあります。痛みがとれなく、運動や日常生活に支障が出る場合は、関節鏡視下で切除することもあります。
【鑑別疾患】
膝の横の痛みでも、様々な原因と疾患があります。
・内側の変形膝関節症
・内側側副靭帯
・軟骨損傷
・滑膜炎
・鵞足炎
・膝蓋骨軟化症
etc…
自己判断はせず、お近くの医療機関(病院または接骨院など)にご相談してみてくさい。
参考文献
Synovial Plica Syndrome of the Knee: A Commonly Overlooked Cause of Anterior Knee Pain